一ノ瀬緑の話は話を続けた
「何とか苦労して俺はその二百人の少女たちがさらに他のシンジケートに売り飛ばされるところを船を強奪して、助けたんだ。
大乱闘のすえ並走してた2隻目の船の最初にいた20人ほどの用心棒らは全員ノックアウトして
とり船底に荷物みたいに押し込められてた二百人の女の子を助けたはずだったんだが
2隻目の船はやつらにエンジンが壊されてたんで
並走してた船のもう一隻は 最初におれが血祭りにあげた船なんだが
10人ほど乗ってた海賊をボコってそのまま海に放り込んじまったんだが
そっちの船の方がでかくてエンジンの性能もよかったんで、
女の子200人をそっちに乗り移らせたんだ。
だけど、そうはとんやがおろさなかった・・・・・
緑「俺が一人でシージャックした船で港を目指そうとしたはずなのに、
途中で援軍の海賊が鉄パイプや拳銃をもって襲って来やがった。
武術の心得のある本格的な武闘派のごろつきたちが30人位現れて、
さすがに最初の4,5人はぶっとばしたんだが、結局・・・・・・
その援軍の用心棒のやつらに袋叩きにされて半殺しで縄でぐるぐる巻きで海にほうりこまれちまった。
なさけないけど、女の子たちは奪い返されちまった。」
エレ「あ~らたいへん、あそこらの海はサメが多いんじゃない?」
緑「ああ、・・・・サメがすごかったな」
エレ「!!」
ーーーーそういえばついさっき、港の沖で死因不明のサメの死体が10匹ほど見つかったってテレビニュースがあったわねーーーーーーー
緑「とにかく、なんとか縛られた縄を歯で食いちぎって自力でほどいて、襲い掛かってきたサメを10匹ほど素手で殴り殺しちまった。
そのあと、なんとか、自力で海岸まで泳ぎついて、ここまで来たってことさ」
エレ「孤軍奮闘ね。それで、ボロボロなわけね。」エレオノーラはあきれたようにくすっと笑った。
エレ「きみのおじいさまもオリンピックで親友でライバルだった相手の選手を力余って投げ殺して金メダルを辞退した伝説をお持ちだものね。そのおじいさまからしごかれたあなただものね」
緑「ブリオシュ長官ははなから、二百人の少女たちは見捨てる作戦だったと、俺は思ってる。」
緑「それがわかってるから、俺はボスにこれまで2か月かけて手に入れた証拠を送れない。
どうすりゃいいいんだ?
幹部の誰かがボタン操作しただけで、女の子たちは何十人かづつ、まとめて殺される。
ブリオシュ長官にとってあんな貧民街の売春婦の少女たちなんて、
命を助けても、だれからも感謝されない、自分の業績にもなりはしない。
あの女の子たちの犠牲は眼中にないのさ。
あの人は最初からあの子たちを見捨ててるんだ。
それが俺にはわかる。
だから闇の幹部を逮捕する証拠をボスに送れない。
おれはダメな特捜官だ。刑事として失格さ。
でもあの子らを俺は絶対に見捨てない。何と言われても。
首になったってかまわない。」
エレオノーラが言った「それで長官に送るべき証拠を私に送信したわけなの?
これはたぶん、きみからの何か依頼が来るなと思ったんで、依頼の内容を判断して、作戦を考えてたんだけどね。
でも世界警察機構の特捜官であるきみが、ボスに送る証拠を私に送るなんて・・・犯罪かもね、ウフ」
緑「ああ、わかってるけど・・・・きみに送っちまってたのか?
1時間前が長官からのタイムリミットだったんだ。
まあどうなろうと、あの子らを守らなきゃ。俺は・・・・」
エレ「2か月間、パートナの私のことはほったらかしだったのにね。
まあほかの上流階級のプレイボーイでまにあわせたけどね。」
エレオノーラは微笑みながら非難するようにいたづらっぽく色っぽくその美しい顔で緑を見た。
緑「・・・・・・!!」
エレ「緑くん、大丈夫?あなたひどい熱じゃない?ありえない・・・」
エレオノーラは緑の額にそっと手をおいた。
横にあったカウチに緑を座らせ自分も横に座った。
「きみ、寝てないんじゃないの?」
緑「おまえに言われたかねえよ。5日5夜寝てない。」