思い出、2
緑が草の上でいびきをかいて爆睡しているのを見つめてから
エレオノーラは緑の父に思いつめた様子で話し始めた。
エレ「あの・・・・・アルパパ。聞いていただきたいことがあるんです。」
「うん?なんだい?」アルベルトはエレオノーラを見下ろして聞いた。
エレ「ほんとはミネコママにも聞いてほしかったんですけど、いないので仕方ないです」
エレ「以前から、ホントはもっと前からお話ししたかったことがあるんです。それがどんな話でも聞いていただけますか?」
アル「きみはもう、僕らの娘だよ。エレちゃん。・・・それがたとえどんな話でも、僕は喜んで聞くよ。」
エレ「・・・・・・ご迷惑だとは思いますが、私、打ち明けられる人がいなくて。ご無理を承知で、聞いてください。アルパパ」
エレ「自分でどうすることもできない運命ってありますよね。アルパパ」
アル「ああ、あるあるだね」
エレ「・・・・・私、自分の前世の記憶があって・・・・」
アル「へえ・・・」
エレ「それが人間じゃなく、宇宙人の記憶なんです・・・・」
アル「そうなんだ」アルベルトは無邪気に楽しそうに返事した。
エレ「・・・・私には・・・・・おじい様以外にだれに知られないようにしてる特殊能力とおじいさまにも秘密にしてる特殊能力があるんです。」エレオノーラはうつむいてどこか遠いとこを眺める瞳で語った。
「それはすごいな」アルベルトは嬉しそうに言った。
エレ「私は他人に気づかれずに他人の記憶や経験を自由に自分にダウンロードしコピーする能力があるんです。この能力はおじいさまも知っています。他に自分の遺伝子を変換して姿を変える能力、これはおじいさまは知りません。
あと、なぜこんな能力があるのかわかりませんが、1回だけ自分の時間を逆転させ死から生き返る能力です。」
アルベルトは息をのんだ「すごいなあ」
ウチワをパタパタさせた。
エレオノーラは思いつめて緊張してた糸が切れたように、しくしくと泣き出した。彼女は、まだ11歳の少女である。
アル「あれ、泣かないで。エレちゃん」
アルベルトはじぶんの来ている甚兵衛の袖でエレの流れ落ちる涙をそっとぬぐった。
アル「何故なくの?」
エレ「祖父が私の能力でお金儲けすることしか考えてないので・・・・ときどき辛いです」
アル「まあ、それもきみのじいさんなりの愛じゃないかな?僕はそう思うよ」
エレ「そうですね」
エレ「こんな能力があることをだれにも秘密にしてること自体がつらかったんです。でも祖父に・・・・愛してくれてることはわかっててもこれ以上の能力のことは知られたくない。私にはまともな父と母はいないので・・・・聞いていただけてスッキリしました。アルパパありがとう」