思い出、3
そのとき、緑が、目をこすって起きだした。
「むにゃ・・・・そろそろ家にかえろうよ。おやじぃ」
アルベルドが何かエレオノーラに答えようとしたとき
岬から見える南の海の上に夜空から隕石が落ちてきたように見えた
アル「お!隕石か?」
ところがそれは海の上でひょいと上昇し、小姑島の無人灯台のある人の住んでない区域の森のほうにふわりと浮かび、そのままストンと森の中に着陸した。
アル「おお、あれはUFOか!?これはすごい!僕は様子を見てくるから、あぶないからきみらはここにいなさい。」
と子供たちに言ったつもりだったが、周りにはもう誰もいなかった。
緑はエレオノーラの手をつかんで走り出していた。
緑「すげえぇ!!絶対に写真とるぞ!」
彼は興奮していた。ちょうどきのうテレビでUFO特番を観たばかりだった。エレオノーラは緑に手を引っ張られて転ばないように走っていたが顔は無表情だった。
アル「おーい、お前ら危険だから帰れ!」
緑「勝手なこと言うな!くそおやじっ!」
おっとり刀で、追いついたアルベルトは、自分らが光る何かの度真ん前に来ているのに気が付いた。150メートルくらい離れていた。
緑は携帯電話で光を放っているものをパシャパシャ写真を撮っていた。
エレオノーラは無表情で光る何かを見つめていた。
エレオノーラは何かを感じたようにくるっと振り返ると、そこにいた写真を撮るのに夢中の緑を、おもいっきり横の崖下へ突き落した。
不意をつかれて、声を出す暇もなく緑はまともに下に転げ落ちて行った。
光からぎりぎりぎりぎりと音が出始めて、アルベルトの頭に何かおどろおどろしい声のようなものが響いた。
「イチノセミドリはどこだ? その男を殺しに来た!やつは光体の制御者だ。やつを殺す!それが私の役目だ!」
アル「えええええ!!」アルベルトは体が動かなかった・・・・
エレオノーラが無表情にアルベルトの横に立っていた。
光るものは丸い頭の金色の仁王像みたいな姿のモザイクの様な表面の3メートルくらいの形になった。
おどろおどろしい声「オス2匹か?どちらだ?若いほうか?」
丸い頭の金色の仁王像はムチの様なものをシュッと出した。その瞬間にエレオノーラの服が一瞬で粉みじんになり、エレオノーラは裸になった。
なんとエレオノーラの裸は男の子・・・だった。
「私がイチノセミドリだ」エレオノーラはそう叫んだ。
グギギギギギギギギ
金色の丸い頭の仁王像は エレオノーラに向かって恐ろしい炎と光を放った。エレオノーラの身体は一瞬で丸焦げになった。
「ニンム カンリョウ!」おどろおどろしい声はそういうとそのまま、垂直に夜空に上昇し一瞬で見えなくなった。
なんと、エレオノーラの焦げた身体がじわりじわりとフィルムの逆回しの様に元へ戻り、やがて元のエレオノーラに戻った。
アルベルトの金縛りがようやく解けた。
そのとき、緑が怒って崖下からようやくよじ登ってきた。
擦り傷だらけで左足は捻挫していた。
が二人の様子がただ事でないことに気が付いた。
緑「何があったんだ?」
彼はエレオノーラを見たが、疲れ切った顔で呆然としてるエレオノーラは丸裸だった!
しかもなんと、彼女には、おchinchinがあった!
緑は「?!?!」
アルベルトは自分の甚平の上を脱いで即エレオノーラに着せた。
脱力した顔のエレオノーラは
「・・・いま体を元に戻しました・・・女の子に」
アルベルトはさっき聞いたばかりのエレオノーラの特殊能力を思い出した。
そっとささやいた。「きみは自分の性別を変えれるのか?」
「はい そうです」エレオノーラはそっとささやき返した。
アル「あいつらは何故おれの息子の命をねらったんだ?」
また囁いた「緑の命をきみが自己犠牲して救ってくれたのか・・・・」
エレオノーラは答えなかった。
3人は無言でそのまま家に帰ったが、緑は危険な現場を見なかったのでよく事情がわからなかった。
ただ、緑はエレオノーラが、体が男の子心が女の子という『お釜』ととんでもない勘違いしてしまった・・・・