あとには狼の父親が命をかけて守ろうとした子犬が残された。
「きゅい~ん」子犬は甘ったれた声をだして僕のほうへ走ってくると、僕の足にじゃれついた。
「キュンキュン」
ほっとくわけにいかないので、僕は子犬も連れていくことにした。
「ねえ、青いペガサスさん、地獄の玉ねぎとこの子犬のせて空飛べる?」
「地獄の玉ねぎは見かけより軽いと思うのでたぶん大丈夫かと思います」
僕と、地獄の玉ねぎと狼の子犬を乗せて、青いペガサスは緑の都市へと帰路についた。
緑の魔女の広間で、青き女王の周りに、ぐるっと銀のバケツが16個も置かれていた。
緑の魔女「用意はいいかい?」
僕は地獄の玉ねぎに向かって言った。「用意はいいかい?」
玉ねぎ「ぎねー!」
僕の構える銀のバケツに向かって地獄の玉ねぎがピュッと汁を飛ばした。
緑の魔女「OK!上出来です」
緑の魔女は、女王のレースのハンカチにちょっぴり玉ねぎのいま飛ばした汁を染ませた。
緑の魔女はそのハンカチを女王に渡した。
女王は少し覚悟を決めてから
自分で自分の左右の目をその汁を染ませたハンカチでチョコっと拭いた。
とたんに、涙が溢れ、まるでポケモンのゼニガメのみずてっぽうの様に、女王の左右の目から涙が噴出した。
16個のバケツはみるみる青き女王の涙でいっぱいになった。目の前には銀の城よりやってきた16人の兵隊たちが待機していた。彼らは緑の魔女の指示道理に、それぞれに青き女王の涙の入ったバケツを手に持ち、持ち場に着いた。
緑の魔女「はじめ!」
兵士たちは、一斉に小さなひしゃくで回りに涙を撒き始めた。
見る見るあたりの様子が変わっていく。
緑の魔女の適格な指示で街のあらゆる家、人々が元の姿に戻っていった。
あたりは、まるで魔法から解けたように、ヒスイ色の緑の都市にもどっていた。
何千人という人々が、まるで夢から覚めたように、キョロキョロとあたりを見回している。
緑の都市は完全に元の姿に戻った。
人々の暮らしも徐々に元に戻っていった。