タマちゃんは女王の入れてくれた紅茶をピチャピチャ飲んでいた。がファイガは紅茶なんかに目もくれず、目の前の山のようなお菓子を手当たり次第にガツガツ食べていた。
黄の魔女が言った「まあ、ひどいテーブルだこと」
ファイガが何してても黄の魔女も女王も楽しそうだが、石人のことに関して、ぜんぜんまるで心配してないようだ。
「女王、はやく冒険に出かけるよ。」
「わかりました。」では女王はいつものように宝石を散りばめた金の杖を振った。
なんと、テラスに青いペガサスが現れた。
「あれ、僕が陶器のペガサス像を壊したんじゃ?」
「ああ、あれはすぐ元に戻せる魔法があるので、気が付いて直しときましたよ。」
「そうか、よかった。あのさ、その青いペガサスって、あなたなの?」
「はい、そうです。私がナビゲートしてます」
「そうだったんですか」
「今回は、ファイガとタマちゃんも同行させてください。おそらく必要になるとおもいます。」
「連れて行けばいいだけかな?」
「そうです。連れて行けば、状況にあわせて彼らが判断してやってくれるでしょう」
ーーーーなんか、いい加減な感じだな。ま、いっか。いつも出たとこ勝負だしーーーー
僕は自分のブルべーりジャムいりの紅茶を飲み干すと
「青き勇者、いきます!」青いペガサスに乗り
「ファイガ、タマちゃん、おいで!」と呼んだ。
ファイガはテーブルの上の最後のチョコレートを食べ終えると、「がぅ!」というなり、僕の後ろに飛び乗った。ファイガに青き女王は学者にもらった銀の爪と牙を装備させた。
タマちゃんはマーマレード入りの紅茶を飲み干すと、僕の前に飛び乗った。
青いペガサスが言った「いきましょう」
黄の都市の上空から下を見ると、あたりは広大な森があったが、その森はすべて大理石の彫刻でできていた。草も花も走り回る動物たちも、すべて大理石の彫刻だった。それが生きて動き走り回っていた。
異様な光景に思えたが、青いペガサスに聞いて見た。
「ここは緑の木やふつうの動物はいないの?」
「ここいらあたりは石の花の森といいます。ここはこの世界の本来の姿なんですよ。森や湖や普通の動物の方が、叔母様たちの魔法で作られた世界なんですよ。この世界は石の精霊の住まう世界なのです。私は・・・・青き女王はダイヤモンドの精霊です。そして青き勇者さま、あなたはサファイアの精霊なんですよ」
「え、僕は精霊なの?」
「今はね、そうですね」
少し飛ぶと、町らしきものが見えてきた。
「あれが石人の町です。降りますね」
石人の町の入り口に青いペガサスは降り立った。
「いきなり、街中で戦闘にでもなるかな?」
「なんともいえませんが、とにかくがんばってください。今回は仲間連れですが、ご無事でおかえりくださいね。ファイガもタマちゃんも」
「行ってきます」「がぅがぅ!」「ギネ~~!」
町の入り口から町中に入ると、町は閑散として石人らしきものは見えなかったが、店らしき家があったので入ってみると、石の彫像の男性がいた。
「いらっしゃいませ。回復薬なら売り切れですが?」
「あの、僕は青き勇者なんですが、暴君から町を助けにきました」
「ああ、ついに来てくれましたか。この半年なんとか処刑は無くなったんですが、作家の女の子がおもしろい作り話を王様に聞かせている間に、石人たちはみんな町を逃げ出してしまったんですよ」
「とりあえず、王様に話を聞かせてる女の子が心配です。お城に案内しますので、どうぞ」
石の彫像の男性は店の扉に鍵をかけると、僕の前を歩きはじめた。
「そもそも、王様は良くもなく悪くもないごく普通の王様で、私たちも良くもなく悪くもない平凡な日々をこの町で暮らしていたんですが、ある日あんなことになりまして。」
「あんなこととは?」
「王様に悪魔の魔獣が乗り移ったんですよ。」
「石人は石や砂を食べます。それが私たちの食糧なんですが、ある日・・・・・細かいことはわかりませんが、とにかく悪魔が王様に憑依してそれから暴君になったんですよ。毎日言いがかりをつけられて、石人が一人以上、石砕機で処刑され始めたのは7か月くらい前でしたね。1か月、そういう状況を見かねて、石人のアマチュア小説家の女の子が王様をたずねて、面白い話で王様の気を引きなんとか処刑が止まり、その間にみんな町の人は逃げ出したんですよ。」