〇月〇日
今日は、パインと一緒にライカの里帰りのお供f^^
グレンで待ち合わせをしているのだけれど・・・・
なにせ、グレンは世界経済の中心。本当の意味で大都会!
尋常じゃない位人が多い。待ち合わせもひと苦労だ。
ガタラで待ち合わせれば良かったかな?
回りを見渡しながら歩いてると、ちょっとした人だかりが・・・
その中にひと際大きい身体のライカがいた。
「今、人と待ち合わせしてるので・・・」
ナンパされとる・・・∑(゚Д゚)
ライカがこっちに気づき、人垣をかき分けてこっちにきた。
「すみません。なんだか知らない人達に囲まれてしまって><」
「それじゃ、行きましょう!」
パインはパインで、最近ライカに甘える事を覚えて、すぐ抱っこしてもらってるし!!
なんなんだ~!この言いようのない敗北感は。(つД`)ノ
まぁ、それは置いといて・・・
実はライカの話だと、直接ランガーオ村に行くのではなく、村からちょっと離れたダズの岩穴に行くらしい。
ある人から手紙を貰ったとの事。
私たちはドルボでその場所に向かった。
グレンの東入口を出てしばらく行くと、雄大な獅子の形をした門が見えてきた。
これが有名な獅子門か・・・
「すごいね~!おねぇちゃん!」
パインの言う通り物凄い迫力だ!
オーガという種族を象徴するかのようだ。
「この門の先にダズの岩穴があります。そのちょっと先にランガーオ村があるんですよ。」
そう言うライカの後をついて行き、少し不気味な洞窟に入り、一番奥の扉の前に着いた。
ライカが扉を開けると、こちらに背を向け、小洒落た頭の男が、真新しいお墓にずっと祈りを捧げていた。
「クリフ、あなたが建ててくれたの?兄様のお墓。」
「覚悟はすでに出来ている、やってくれ・・・」
「それよりも、あなたの口から直接話しを聞きたいわ」
ライカにクリフと呼ばれる男は、涙を浮かべながら事の顛末を話した。
自分の兄貴分でもある、村王のライカの兄を決闘で死に至らせ、その敗北で家族を襲った不幸。父の仇。クリフへの復讐を誓って行方知れずとなった幼き息子。
時折、ライカが私達にもわかるよう、ランガーオ村の伝統としきたりを教えてくれた。
「この者達は?」
「私の大切な仲間よ」
「見届け人という訳だな・・・さぁ、私を殺してくれ・・・」
「・・・・・・・・」
ライカが少し黙って、一呼吸置いた瞬間。怒りの形相で男の顔面を殴りつけた。
「兄様はこんな、腑抜けた男に負けたの?!」
「立ちなさい!」
「兄様に代わって、私が目を覚ましてあげるわ!!」
最初は、ライカの攻撃を受ける一方だったクリフも、少しずつ反撃しはじめ、いつしか激しい一騎打ちの戦いとなっていった。
打ち合いの末、最後にクリフの渾身の一撃が入った!
膝をつき崩れるライカ。
「こ、この一撃で兄様を・・・」
「さすが、最強を誇る村王ね・・・」
「ラッキーパンチなどと言うけれど、ラッキーなパンチなんて存在しないのよ!」
「今、打った拳は紛れもなく、鍛錬に鍛錬を重ねた、あなたの力そのものよ!」
「自分で自分の実力を否定してるけど、あなたに負けた兄様の死を、これ以上侮辱しないで!」
「あなたは、最強の誇り高きランガーオの村王。」
「村王として、これからあなたにしか出来ない事を、して見せてよ!!」
「私は、あなたの死を見届けさせる為に、仲間を連れて来たんじゃない!」
「あなたの村王としての決意を、見届けて貰う為に呼んだのよ。」
「クリフ・・・もう二度と村の人々、そして子供達に、兄様の家族と同じ思いはさせないで・・」
「兄様の息子ガガイは私に任せて。たった1人血の繋がった甥っ子だもの。」
「もし馬鹿な事する様だったら、私が・・・」
ライカは拳を握りしめ泣いていた・・・
「わかった!もうわかった!」
「相変わらずだなぁ、ライカは・・・結婚して少しは女らしくなったと聞いていたが・・」
「な、何よ〜」
今までずっと張り詰めていた空気が少し変わった。
そして、クリフが大きく息を吸い込み、吼えた!
「元村王ガガベスの墓標の前で、ガガベスの妹ライカと、その仲間達の前で宣言する!」
「我は最強の誇り高きランガーオ村王クリフゲーン!」
「勝者には最高の栄誉と更なる強者を、敗者には最高の賛辞と敬意の念を!」
「何代先も、この教えを他変える事は罷りならん!」
これで良いですか?ガガベス様・・・
まさに獅子が吼えるが如き宣誓。
そして、ライカとクリフ・・・
向かい合う二人の姿が、あの獅子門で向かい合う、獅子の様に見えた。