| 冒険者の皆さま、こんにちは。テクニカルディレクターの青山です。
先日ニンテンドー3DS 版 の発表がありましたが、もうすぐ発売ですね。 これを機にクライアントプラットフォームの話を少しさせていただきたいなと思いましたので、今回 筆 キーボードを執らせていただきました。 |
まず現状ですが、ごぞんじのように「ドラゴンクエストX」は、以下のクライアントプラットフォームでプレイ可能でしたが、
Wii
Wii U
Windows
ドコモスマートフォン (対応機種はこちら)
2014年9月4日からここに、
ニンテンドー3DS
が加わります。
これらの クライアントプラットフォーム 版 それぞれの特徴をそれぞれ見て行きたいと思います。
Wii 版
皆さんご存知の通り、「ドラゴンクエストX」は 2012年8月2日のWii 版 から正式サービスをスタートしました。
発売以前には「WiiでオンラインRPGができるのか?」という否定的な疑問も聞こえて来ましたし、実際に私達開発チームにとっても非常にチャレンジングなことでしたが、多方面からのご協力をいただきながら、開発スタッフみんなの尽力でなんとか成し遂げ、順調にサービスを開始することができました。
Wiiが最初のクライアントプラットフォームということで、私たち開発陣はずっと Wii 版 を中心に開発を進めてきました。
そして現状でも技術的な基準は Wii 版 にあり、また Wii 版 でプレイされている方もまだまだ非常に多いので、「ドラゴンクエストX」の開発と検証は今でも Wii 版 を中心に行われています。
※ 画像は Wii 版で撮影したものです。
Wii U 版
Wii U 版ドラゴンクエストXは、Wii 版 の約8ヶ月後の2013年3月30日に発売開始しました。
この2つの性能を比べて色々と語りたいところですが、私たち技術陣が開発時に使用している詳細な資料は一般公開されていないため、ここでは残念ながら、Wii U は Wii より高性能なクライアントプラットフォームである、というところくらいしか言えません。スミマセン当たり前の話で(汗
しかし高性能なのは事実で、そのおかげでより細部まで描写が可能になりました。
例えば各キャラクターの影が、Wii 版 は基本的に丸型ですが、Wii U 版 ではキャラクターの形にそっているなど、表現も豊かなものになりました。
影が人型になったくらいで何を大げさな、と思われるかも知れませんが、処理負荷としては、下手をすると影一人分につきキャラクターがもう一体増えるくらいのインパクトなのです。
逆に言えば Wii 版 ではこういうところをうまく省略することにより、多数のキャラクターを表示することに成功しているとも言えますね。
※ キャラクターの動きや、武器の形にあわせた影を表示。
またもう一つの大きな特徴として Wii U GamePad が挙げられると思います。
個人的にはこれがドラゴンクエストXと非常に相性が良いと感じていて、自宅でのプライベートプレイでは Wii U でのプレイ機会が自然と多めになっていますね。
更にバージョン2.2からですが、テレビに画面と同じ画像を Wii U GamePad に表示できるようになり、また逆に表示しないことで消費電力を抑えることができるようにもなりましたので、状況に応じて活用していただきたいところです。
※ 画像はハメ込み合成です。ゲームの画面写真は Wii U 版のものです。
Windows 版
Windows 版 ドラゴンクエストXは、Wii U 版 から5ヶ月程度後の2013年9月26日に発売開始しました。
Windows 版 が動く パソコン に色々なものがあるのが大きな特徴かと思いますが、
それに合わせるためにさまざまなカスタマイズを可能にしてあります。
例えば Wii U 版 のところで解説した影に関しても、丸型かキャラクターの形にそったものかを選択できるようになっていますね。
これらは冒険者の皆さまご自身で細かくカスタマイズすることもできますが、「おすすめ設定」を選んでいただければ、ご使用している Windows パソコン の性能を測定して最適と考える設定をしますので、そちらをそのまま使用していただいても十分かと思います。
ちなみに、高性能の Windows パソコン で Windows 版 をプレイされている方で、
コンフィグ>環境設定>描画制限>フレームレート を 60fps に設定されている方は、
Wii 版 や Wii U 版 よりも滑らかに動いている画面でプレイされていることと思います。
Wii 版 および Wii U 版 は、ここの指定が 30fps になっているのと同等ですので、60fps も Windows 版 の特徴と言えるでしょう。
ここでいうfpsは frame per second の略で、1秒間に描画される画面の枚数を表します。
もう少し解説しますね。
ゲームの映像は、といいますか実は映画やテレビ、動画配信も同様なのですが、静止している画像をちょっとずつ変更しながら短時間に何枚も切り替えることで、見ている人間にはあたかもそれが動いているように見えている、という仕組みなのです。
つまり1秒間に30回静止画が切り替わるよりも、1秒間に60回切り替わる方が滑らかに動いているように見える、ということですね。
もちろん60fpsを実現するには、1秒間に60回画像を描画しなければなりませんので、単純に言えば30fpsの倍の性能が必要です。
そのため低性能の Windows パソコン で 60fps に設定すると、むしろガクガクになってしまいますが、それでも負荷の軽い場所では滑らかに見えることを体感できるかも知れません。
一度試してみるのも悪く無いと思います。
※ 左側が30fps、右側が60fpsのものです。
クラウド 版 (ドコモスマートフォン 版 およびニンテンドー3DS 版 )
Windows 版 から更に3ヶ月近く後の2013年12月16日に、ドコモスマートフォン 版(dゲーム 版) のサービスを開始しました。
この ドコモスマートフォン 版 ドラゴンクエストXと、これから2014年9月4日に発売開始予定のニンテンドー3DS 版 ドラゴンクエストXは、今までとは少々毛色が異なり
「クラウドゲーム技術」というものを利用しています。
※ Wii 版、 Wii U 版、Windows 版と違い、ゲームサーバーの間にクラウドサーバーを介します。
イメージとしては、
クラウドサーバーの中に人数分のゲーム機が用意されていて、
それらをニンテンドー3DSやスマートフォンから遠隔操作している。
というのが近いと思います。
※ あくまでもイメージです。
本当にゲーム機が並んでいるわけではないのですが、イメージしやすいようにこのまま詳細にもう少し解説してみますね。
例えばニンテンドー3DSのボタンを押すと、その情報はクラウドサーバー内の自分用ゲーム機に届きます。
これで自分用ゲーム機のボタンが押されたことになります。
その自分用ゲーム機ではドラゴンクエストXが動いているので、自分のドラゴンクエストXクライアントでボタンが押されたということになります。
一方、その自分用ゲーム機の画面は随時ニンテンドー3DSに送られ、ニンテンドー3DS上に表示されます。これを繰り返すことで、ニンテンドー3DSでプレイができるのです。
このクラウドゲーム技術によって、ニンテンドー3DSやスマートフォンの性能にあまり影響されずに、ドラゴンクエストXがプレイできるようになりました。
更に、
ドラゴンクエストX本体のインストールやバージョンアップもクラウドサーバーがやっておいてくれるので、クラウド版はいつでも短時間で開始できるというメリットもあります。例えばニンテンドー3DS 版 を開始するためのソフトダウンロードは 5 分くらいですので、冒険者の皆さまにも気軽にお試しいただきたいと思います。
この技術は上記の通り、人数分のゲーム機を別途ご用意しているようなものなので、利用料金体系は Wii 版 等とは別にさせていただいております。
また、遠隔操作している分、操作感が若干異なるところもありますが、WiFi 環境さえあればご自宅以外でもプレイができるようになります。場面場面に応じて是非とも活用していただければと思っています。
以上、少し深いところまで突っ込んで書いてしまいましたが、これくらいなら大丈夫でしょうか?
このように現在の「ドラゴンクエストX」のクライアントプラットフォームの選択肢はいくつもありますので、冒険者の皆さまの環境に合わせて選択していただけますと幸いです。