ミラージュの冒険日誌

なりきり冒険日誌～番外編・猫の島には帰れない（７）

「この帽子どうニャ？ 似合うニャ？」 　ここはジュレット、白亜の臨海都市。上機嫌のニャルベルトが新品のシルクハットを得意げに見せつけた。 　...

なりきり冒険日誌～番外編・猫の島には帰れない（６）

　戦闘開始と共にリベリオの巨体が迫る。私はあえて逆らわず、押されるがままに任せた。 「どうしたニャ！ 歯ごたえがないニャー！」 　笑うリベリ...

なりきり冒険日誌～番外編・猫の島には帰れない（５）

「口ほどにもないニャー！」 　勝ち誇ったリベリオが猫背のままで器用に胸を張った。 「この分なら第３試合も楽勝ニャー！」 　上機嫌の巨猫と、...

なりきり冒険日誌～番外編・猫の島には帰れない（４）

　猫魔族の長、キャット・マンマーの御殿は我々の常識からすれば、大変粗末なものである。 　南国の木々が茂る猫島にこんもりと盛り上がった丘をくりぬい...

なりきり冒険日誌～番外編・猫の島には帰れない（３）

「おっ！ そこにいるのはニャルベルトだニャ！ 随分久しぶりだニャー！」 　リベリオの声が猫島に響く。 　牙をむき出しにした凶悪な笑み……に、...

なりきり冒険日誌～番外編・猫の島には帰れない（２）

　南国の木々の間から常夏の日差し潮の香りが流れおちる常緑の大地。五つの湖には蓮の葉が浮かび、その回りには昼寝用のマット。私が猫なら、いつまで寝...

なりきり冒険日誌～番外編・猫の島には帰れない（１）

「絶対嫌ニャーーーー！！！」　ジュレットに猫の叫びがこだました。部屋の角でふさふさとした毛皮が震えている。やれやれ、これでは先が思いやられる。...

なりきり冒険日誌～グランゼドーラへ

　某月某日。グランゼドーラをめざし、レビュール街道を歩く。 　ちなみに関所の門は女王陛下の親書が開いてくれた。なんでも他の冒険者たちは関所を通る...

なりきり冒険日誌～番外編・後日談

　キィコ、コキィコ、手回しミシンがせわしく回る。絹を広げる音が涼やかに響き、布を断つハサミはリズミカルに歌う。肝心かなめの部分は手縫い。きらりと...

なりきり冒険日誌～番外編・怒りの水晶（２）

　白亜の臨海都市に響く笑い声。その中心にあって仏頂面の魚、それが私だ。 「いやー、いくらお前がぶきっちょでも、４回も失敗するとは思わニャんだ」...

なりきり冒険日誌～番外編・怒りの水晶（１）

　その日、ジュレットの私の家に一通の通知が届いた。 〝貴殿の弓術皆伝をここに認める。驕ることなく、より一層の鍛錬に励まれたし。　ヴェリナード魔...

なりきり冒険日誌～偽りの宝石【ややネタバレ有】

　瞳を閉じ、星海の中に漂う自分を思う。紫紺の夜空に星がきらめき、一つ流れ、二つ流れ……。日ごと夜ごとに廻り移ろう。変わらないものなど一つもない...

なりきり冒険日誌～リャナを歩く

　セレドットを抜け、リャナ地方へ。引き続き我々はアラハギーロ王国を目指す。 　急ぐ旅路ではあるものの、ついつい立ち止まって周囲を見渡したくなる...

なりきり冒険日誌～セレドットを歩く

　アラハギーロをめざし、旅路を急ぐ我々だが、セレド周辺の山岳風景は素通りするには惜しいものがある。 　いずれゆっくり楽しませてもらうとして、今は...

なりきり冒険日誌～セレドの街にて【ややネタバレ有】

　紫色の空を背景に、連なる山脈に吹き抜ける風。苔生した岩肌伝いに歩いていくと、しっかりとしたレンガ造りの家が並んでいるのが見える。セレドは山岳の...